e楽器屋.comが取材した楽器店・インタビュー特集(全36回・2015年3月〜2019年12月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

楽器屋探索ディープレポート Vol.26

Guitars Marketは2022年6月に移転しました、取材記事は旧店舗のものです

Guitars Market

Guitars Market について
1984年オープンした、ビンテージ・中古ギター、ベース、アンプを中心に取り扱う専門ショップ。ギタリストでもある代表の寺田一仁氏が、ギターそれぞれの持つ個性や魅力を紹介し、楽器特性に合わせたリペア、リフィニッシュ、カスタム仕様のモデュファイまで、とことん対話しながら直接対応。大御所Jロックミュージシャンから厚い信頼を得る一方、ギター初心者でも好きなバンドや曲から、最良の一本を見つけてくれる、ギター愛あふれるお店。姉妹店にLive Spot Terra。
Guitars Market 店舗情報
Guitars Market 公式サイト
杉並区西荻北3-22-21 Nord西荻101
お問い合わせ:03-6913-5061
営業時間:12:00〜20:00(水・木定休日)

楽器店の中の人に話を聞いてみた〜 西荻窪Guitars Market 編

このコーナーは、楽器店でミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューしてお話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

ウッドコーポレーション代表 寺田一仁氏

好きなことをやるために、音楽スタジオを作ったのが始まり

本日はプロミュージシャン御用達ギターショップとして知られる西荻窪「Guitars Market」を運営するウッドコーポレーション代表、寺田一仁さんにお話をお伺いします。オープンはいつになりますか?

1979年に西荻窪で「ミスティ」という音楽スタジオを作ったのが始まりで、1983年頃から「WATTS」というライブハウスをはじめて、「Guitars Market」はその翌年あたりのオープンだから1984年頃かな。

おなじく西荻窪のライブハウス「Live Spot Terra」もグループ店ですね。 

TerraはWATTS を2003年ごろに閉じたあと、2005年にオープンした。

楽器店であるGuitars Marketを立ち上げた経緯をおしえてください。

スタジオやライブハウスをオープンして、ミュージシャンが集まるようになったけど、当時はこのあたりに楽器屋がまったくなかった。ライブの前にギターの弦が切れた、というときも、わざわざ荻窪や吉祥寺まで買いに行くしかなくて。だから、弦くらいは買えるような店を作ろう、と思ったのがきっかけ。

まさに現場の声から生まれた、ミュージシャンのための小さな店というイメージ?

そう。すると、その話を聞いた、仲間のプロミュージシャン連中が「もし楽器屋を作るのなら、楽器委託してやるよ」と言ってくれた。だったら、ということで作ったのがGuitars Market。

楽器の委託販売からお店がスタートしたのですね?

そうだね。最初は弦などのアクセサリーと、仲間のミュージシャン連中が持ってきてくれた中古ギター、ビンテージギターなどの委託販売からはじまった。それからアメリカに直接買い付けに行って、ギブソン、フェンダー、マーチンなどの販売も開始して、現在にいたっている。30年以上やっているので、今でも昔からのお客さんやミュージシャンが出入りしてくれています。

楽器店によくあるイチオシのギターメーカー的なものはないということ?

結局は、良い音楽をやるための道具で、良い音が出るならメーカーはどこでもいいからね。

プロミュージシャンや常連さんのほかに新規のお客さん、たとえば、はじめてギターを買うようなお客さんも来ますよね?

もちろん、いっぱい来るよ。若い子も来る。入学記念で買いに来た子もいた。最近は女の子のお客さんもずいぶん増えたね。

たとえば初心者の方にはGuitars Marketとして、どんな楽器をすすめるのでしょうか?

こっちからなにか特定の商品をすすめることはない。どんなものが欲しいか、それを聞いて、うちにあるものでベストなものがあればそれを、なければ、新品を扱うお店で買った方がいい、と教えてあげる。もちろん、うちで注文を取ったほうがいいものは、うちから取り寄せる。

どのようなギターが欲しいか、初心者だと自分でも具体的にわからないこともありますよね?

たとえ、ギターのことがまったく分からなくても、どんなギタリストが好きで、どんな音を出したいか、を聞けば、大体のことを教えてあげられるから大丈夫。

はじめてでも安心していいですね。

そういうことだね。

仲間のミュージシャンと、全国ツアーをまわっている

寺田さんはミュージシャンとしても活動されています。プロでありながら、ライブハウスや楽器店を経営することになった理由は?

19歳の時からプロミュージシャンとしての活動をはじめて、テレビの歌番組のバックバンドや、事務所からの仕事をしていたけど、そういうのだけだと飽きてきちゃって。自分の好きなことをやるために、さっき言ったスタジオを作ったのが最初。

自分らしい音楽活動を追求したい、多くのミュージシャンが共感するところです。

スタジオをやりながら、だんだんと自分の活動を増やして、全国をツアーしたりもするようになった。いまもやっているよ。

全国ツアーをやっている!いま現在も?

いまだにやっているよ、仲間といっしょに。そういうミュージシャン仲間が山ほどいる。高校時代からのミュージシャン仲間が今も多くいるからね。そこらの楽器も、彼らのモノだったりするのもあるし。出演ミュージシャンは「Terra」の出演スケジュールをみてほしい。

すごいミュージシャンの名前もありますね!

みんな仲間だったり、先輩、後輩だったりで、ライブハウスで演奏したり飲んだりしている(笑)。

お互いに刺激し合える関係ですね。寺田さんがもっとも影響を受けたミュージシャンをおしえてください。

地元山梨の高校時代に先輩がやっていたバンドには影響されたね。その人はのちに「TOO MUCH」というバンドに入ったのだけど、その影響はかなり大きいね。まだ日本にロックフェスがなかった70年代初頭に「富士オデッセイ」という、日本版ウッドストックを企画したことでも有名な人で。

伝説のJロックバンド「TOO MUCH」ですね。それにしても、学生時代に日本代表クラスのロックミュージシャンが集っていたとは、驚きです。

そうだね。なかでも、その先輩とバンドの影響は別格だったな。そんな感じで、ぼくらの時代はベンチャーズの世代だけど、グループサウンズ後のロックをやっている人たちをリアルで知っているわけ。

今後のビジョン?とくにないね(笑)。あえて言うなら、変わらないこと

最初のスタジオオープンからほぼ40年となります。これからのビジョンをおしえてください。

今後のビジョン?とくにないね(笑)。あえて言うなら、変わらないことかな。

変わらないことを貫くのは、たやすいことではないですよね。楽器店として変化が必要とされることも多少はありませんか?

いや、うちの店としてやることは変わらない。音楽をやる連中は、一定数、ある程度の年齢あたりになると、音楽から離れて楽器も使わなくなるでしょ、でも楽器は使わないでいるとダメになっていくから。

音楽をやっていた人はいつか楽器を手放す、その楽器は修理やメンテナンスされて、新しい持ち主に出会い、また音を奏でてゆく?

そう、そのルーティンがある限りは変わらない。それと、楽器屋としての役割のほかにも、個人的なスタジオがあって、仲間のバンドのリハーサルやレコーディングもできるようにしてある。みんながここで音楽活動ができるように、この店を変わらずに続けていくことが、ビジョンといえば、そうかな。今日まで、店や音楽活動を続けてこられたのも、仲間や先輩の影響があってこそだから。

ともに歩む仲間たちの存在、変わらぬ姿勢の真髄がそこにあるのですね。それでは最後にGuitars Marketからメッセージをお願いします

うちで取り扱う1本1本が、それぞれ個性と魅力を持つギターです。うちのギターのことを知りたかったら、直接、ぼくにたずねてほしい。地方の方は、ぜひ電話してください。メールだけでは伝えきれないからね。さっきも言ったけど、うちは大型店のようにメーカーの量産品を仕入れて売るようなことはしていないので、商品カタログのようなものはありません。ぼくから直接、Guitars Marketのギターというものを表現させていただきたいです。

Guitars Marketで、すてきなギターとの出会いがあるといいですね。本日はすばらしいお話をありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2018年6月)

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